バスタブ渦の謎

「南半球では時計回り、北半球では反時計回りに渦ができる」

という話は昔から聞いていた。
地球の自転により発生した「コリオリ力」で北半球と南半球で渦の回転方向が異なるという。
台風や海流なんかはコリオリ力の影響で渦の方向が決まっているらしい。

赤道直下のエクアドルではこの現象を目で見て確かめられる。
エクアドルの首都キトからバスを乗り継ぎながら2時間ほどで赤道に行ける。
エクアドルには赤道と言われている場所が2箇所ある。正式名称は忘れたが、通称「偽物の赤道」と「本物の赤道」だ。

まずは「偽物の赤道」に行った。偽物と言っても由緒正しい場所で、立派な記念碑が建てられ、綺麗に管理された公園になっている。レストランやお土産屋も多く、エクアドル随一の(ガラパゴスを除く)観光地といった雰囲気だ。ただ、当時の測量精度が低く、実際の赤道から200mほどズレてしまったようだ。

では、「本物の赤道」はどこにあるのか?
「偽物の赤道」の敷地を出て、土の山道を歩いた森の中に「本物の赤道」が引かれている。2ドル払うと「本物」ならではの実験を見せてくれる。

そのうちの1つが「バスタブ渦の実験」だ。
シンクの水を抜く時、赤道上では渦ができず、2mぐらい北では反時計回りに、2mぐらい南では時計回りに渦ができるのだ。

ガイドは自身満々。
「ヘイ、ガイズ!カメラのよういはいいかい?それじゃセンをぬくからな。ワン、ツー、スリー!どうだい、これがコリオリの力だよ。エクアドル、いいトコロだろ?またこいよ!チャオ!」

…怪しい。
この実験が科学的なものだとしたら、エクアドル政府がほっとかないだろう。「本物の赤道」のある公園を買収し、本物の赤道上に巨大なバスタブでも作って「どうだ!これがバスタブ渦の実験だぞう!」とアピールすれば世界中から観光客を呼べる。

「バスタブ渦」は1962年にNatureに掲載された論文により一般にも知られるようになったという。この論文によるとコリオリ力によって北半球と南半球で渦の方向が異なると。
しかし、どうやら「残留渦度」がゼロの場合しかこの理論は成り立たない。

ザンリュウウズド?

その正確な意味は僕には理解できないけど、まあ、完全に静かな状態って感じだろうとは想像できる。
そして、現実世界ではほぼあり得ない状態で、つまり、「現実のバスタブ渦の方向は決定できない」ということらしい。

「本物の赤道」で見た実験を思い出す。
シンクにバケツで水をバシャーって入れて、その直後に栓を抜き、「ヘイガイズ!どうだい、渦ができるだろ?」となる。
「残留渦度MAX」じゃん(笑)

おそらく赤道の北と南で水を注ぐ方向を変えることで意図的に水流を作り、渦の方向を変えていたのだろう。

しかし、赤道上では渦が全くできず真っ直ぐに水が抜けていた。
赤道上のパターンは水を注いだ直後ではなく暫く放置しておくので、明らかな水流は存在しない(当然「残留渦度ゼロ」とはほど遠いだろうけど)。この状態で栓を抜くと、真っ直ぐに水が抜けていく仕組みがあるはずなのだが、それは僕にはわからない(多分、抜け口がチョコっとだけジョウロみたいな形状になってるんじゃないかなあ)。

これで「本物の赤道」でのトリックはなんとなくわかったのだが、わからないことが1つだけある。

「本物の赤道」は本当に本物なのか?

しかし、これを追求するのは野暮ってもんだ。
陽気なお兄さんに2ドル払って「ヘイガイズ!すげーだろ?」て言わせる、そんな雰囲気が僕は好きです。

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No title

 二次ソースでうろ覚えだから全然当てにならないけど、確か、残留渦度は完全にゼロじゃなくてもよかったはずです(他の要因が無視出来るほど小さくて、コリオリ力が一番強ければいいとか、そんな理由なのかな)。
「バケツで水を入れたら、2日以上は放置しないとお話にならない」「ええ!? 2日以上もかい!」とかそんなことを、島田荘司の探偵役とワトソン役が言ってた覚えがうっすらとします。

 どうでもいいけど、コリオリ力って書くとコスタリカみたいで素敵ですね。

No title

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