fc2ブログ

二子山で「即身仏」はじめました

「任侠道」(5.12d)を登ったあとは、なんとなく流れで「唐獅子牡丹」(5.13b)のトライを始めたけど、目標を「即身仏」(5.13c)に変更した。
というのも、「唐獅子牡丹」周辺はトライしている人が多すぎて自分のペースで登れないってのが第一。
第二は、洗練されたムーブを見過ぎた結果、それをトレースする作業になってしまい、自分でムーブを組み立てる楽しみがあんまり無い。
第三は、核心の一手が極端に難しすぎて、その一手でワンテン状態がしばらく続くことが容易に予想できたから。

だけど最大の理由は、「即身仏」が憧れのルートだから!

IMG_5686.jpg

10年以上前に初めて二子山に来た時に、「あんな所を登るの!?」と驚いた。
トポを見るとそのグレードは5.13cで、当時の僕にとってはトライする対象にはなり得なかった。ただ、「あそこを登ったら気持ちが良いだろうなあー」という程度の感覚だ。

クライミングを続けていくうちに平山ユージの「即身仏」というルートの価値がわかってきた。
それにともなって、少しずつ、「いつかは登りたい」という気持ちが湧いてきた。
そして、「スプラッシュ」を完登したことで、グッと現実的な課題、つまりトライする対象として「即身仏」を意識するようになった。

正直言うと、僕にはまだ早いと思う。
被った石灰岩には慣れていないし、「任侠道」と「即身仏」の間には大きな隔たりがあることも理解している。
でも、二子のクライマーはみんな自分の憧れたルートに真摯に向き合っている。
だったら僕だって「即身仏」にトライしてもいいはずだ。

IMG_5611.jpg

今日の記事とは関係無いけど、スーパー小学生クライマーのリクくんが、岩場で読んでいたのは宗田理「僕らのシリーズ」。
おじさんも20年以上前に全部読んだんだぞー。何回も何回もだぞー。
やっぱり本には本の良さがあるよね。なんだか嬉しくなりました。

IMG_5629.jpg

二子山通いも早いもので4週目。
僕のお気に入りの宿は小鹿野ゲストハウス(通称、おがゲス)。3500円と安くは無いけど、とても居心地の良い宿です。肉焼いたり、鍋したり。ストレッチもやり放題。車中泊とか民宿には無い楽しみがあります。

IMG_5732.jpg

さて、話は戻って「即身仏」。
このルートの魅力はズバリ「独立性」。まずビレイポイントからして陸の孤島。なのにハンギングじゃなくてちゃんと地面があるという。まるで、プライベートVIPルートといった趣きだ。最近、この壁に2本の5.14が追加されたが、「即身仏」より難しいルートだから、まあいいだろう。この壁の価値は保たれる。

もちろんルートの内容も素晴らしい。徐々に難しくなっていき、終了点ホールドを掴むまで全く気が抜けない。前半と後半でちょっと難易度が違いすぎる気もするけど、トライ早期から終了点近くで勝負できるのでモチベーションが高まる。核心は後半部分全部。とりわけ難しいムーブも無いけど、どこでも落ちそう。最高じゃん!

IMG_5716.jpg

三連休の2日目は疲労もあったのでマルチなんかやったりして。
宿題だった「スーパータジヤン」(5.10d)をこなして、そのまま中央陵をコンテでお散歩。何回登っても気持ちの良いルートです。

弓状に戻ってからは気になっていた5.11シリーズの一撃トライ。
まずは「オ•ララー」(5.11b)。いーさんとかロッシーさんがめちゃくちゃ悪いっぽい(スプラッシュと比較しちゃうぐらい悪い)話をしていたので緊張したけど、普通に登れた。あなた方の成長スピードが早すぎるのではなかろうか。
(あ、そうだ、お二人ともスプラッシュ完登おめでとうございます!)

次に「ビッグモモ」(5.11c)。これは難しかった。けど、力で捻じ伏せ、なんとかオンサイト。

お次は「ピヨピヨ」のつもりだったけどルートの7割は「マイライフ」(5.12a)と共通する上、見た感じ、内容の9割が「マイライフ」だ。だったら「マイライフ」やればいいか。一部分ムーブを見ていたこともあってフラッシュ成功。オンサイトだったら失敗していただろうな。

IMG_5730.jpg

3日目は「即身仏」に戻ってきた。
アプローチ部分(5.12aぐらい?)はできるようになったけど、それなりにパンプして、核心突入の直後にテンションしてしまう。
核心部分だけやっても、まだ終了点までは到達せず。でも、下8割、上8割で繋がってるので、核心パートの完成は近い。
これを5.12aの後にこなすことはまだまだ不可能だけど、途方も無いって感じでもない。
残り少ない春シーズンだけど、もしかしたら登れるかもしれない。

IMG_5681.jpg

もう暫く二子山通いが続きそうです。

続きを読む

スポンサーサイト



杉野さん

杉野さんがクライミング中の事故で亡くなった。
こういう事故から最も遠そうなクライマーなのでショックは大きい。
詳細がわからないから事故そのものについて言及するつもりはない。

ただ、言葉にして残さないと、いつの間にか「過去の出来事」になってしまう気がして、今の自分の気持ちをココにメモすることした。

僕は杉野さんとはっきりした面識があるわけではない(もちろん僕は一方的に良く知っているが)。
でも、岩場で見かけることも多かったし、最近では会えば会釈をするぐらいの関係ではあった。
最近知ったのだが、このブログも読んでくれていたようだ。

名前はずっと昔、僕がクライミングを始めた時から知っている。たぶん平山ユージの次に僕が認識したフリークライマーが杉野保だと思う。
始めて実際に目にしたのは2008年11月の二子山。その頃、僕はまだ5.11もろくに登れなかったから、杉野さんの強さはよくわからなかったけど、ヤマタケさんが苦労しているルートを軽々と登る姿が印象的だった。
その後、岩場で時々目にすることはあっても直接話すことは無かった。

最後にお会いしたのは今年の1月6日のシーサイド。
講習会だったけど、受講生に知り合いがいたこともあり、少し言葉を交わすことができた。
その日の「スプラッシュ」(杉野さん初登)のトライは、いつも以上に緊張した。たぶん杉野さんは僕のトライなんてこれっぽっちも気にしていないだろうけど、それでも僕は見られているような気がして、頑張ろうという気持ちと恥ずかしい気持ちで足が震えた。

本当に偶然、昨日、杉野さんのwebページを眺めていた。
フリークライミングのスタイルについてちょっと気になることがあって、色々なwebページを見ていて、そのうちの1つが杉野さんのページだった。ページ内の「クライミング用語集」を「アイソレーション」から順番に全て読んだ。
その後、奥様が書いている「たまにっき」の記事をいくつか読んだ。

杉野さんの書く言葉は、皮肉が効いているが、誰かを蔑むものではなく、クライミング文化の変化を受け入れ発展させていこうと言う意欲を感じる。
そして奥様のブログ記事は、直接杉野さんのことを書いていることは多くないけど、行間から杉野さんのクライミングに対する真摯な態度を感じることができる。

杉野さんがクライミング界に残したモノは、はかり知れない。
だけど、本当に活躍するのはこれからだっただろう。これからの日本のクライミング発展に欠かせない人物だったはずだ。
無念。

「スプラッシュ」と「てるてる坊主」を登ったのも何かの縁なのかもしれない。
今年は彼のルートを積極的に登ることにしよう。

「任侠道」(5.12d/13a)を登った

先週からトライを始めた「任侠道」(5.12d/13a)を昨日RPできました。
正直に言うと、もう少しサクッと登るつもりでいたのですが、6日も費やしてしまいました。
やはり、一筋縄ではいかない素晴らしいルートですね!

初めて触った時のこと。
全てのムーブが簡単で、核心と言われているダブルアンダーからの2手も、核心だと気がつくこともなく解決してしまいました。クリップが一箇所、怖かったけど、慣れれば問題無いと思いました。
なので、「他のルートにトライしながら片手間でやってればすぐに登れる」と勘違いしてしまいました。

それから3日後、僕は困惑していました。
問題のクリップが、依然として問題のままなのです。
前腕をなるべくフレッシュに保つためにムーブもしっかり練って、本気モードに突入です。
その結果、クリップポイントまではほぼノーダメージで辿り着けるようになりました。が、それでもクリップができず。

平日を挟んで、翌週。
前の週は連登の疲労が溜まっていただけだろう、と楽観的な気持ちでトライしました。が、やはりクリップできずにヌンチャクを掴んでしまいました。
このクリップ以外は、もう全く落ちる気がしません。それなのにクリップできずに登れないなんて…。

スポーツクライミングは、ボルトを打つことによってルートが完成します。
つまり、スポーツルートは岩と初登者の合作です。
「任侠道」に関して言えば、僕は、「岩」と言うよりも、「初登者」に苦しめられているのです。

本来、クライミングは「自然と自分との対話」だと考えるのが自然でしょう。
だから僕はボルダリングやトラッドが好きです。
ボルトが打たれた時点で人工物になってしまう気がして、あまりスポーツクライミングに打ち込む気にはなれませんでした。
ちょっと話は違うけど、ボルトルートなのに登攀スタイルとか論ずるのも違和感がありました。上からぶら下がって打たれたボルトをどれだけ使ってハングドックしようがセコイとは思えないし、トップロープも全くカッコ悪くありません。マスタースタイルと普通のレッドポイントの差もよくわかりません。極論を言えば、「トップロープで登れたら完登」の方がスポーツとしては合理的です。

しかしそれは、「合理的に岩を登る」という観点であって、「初登者の作品としてのルートを登る」という観点が抜けていました。
僕にとって「任侠道」は岩との対話と言うよりは初登者の飯山さんとの対話でした。
なので、トップロープでの完登とリードでのレッドポイントでは全く意味が違います。
トップロープで登れれば僕にとって「岩登り」は完結しますが、飯山さんとの対話を放棄したことになります。

そして昨日。
例のクリップでまごついてしまう明確な理由は未だによくわかりませんが、とにかくそこだけが問題点として残っていました。
一瞬、スキップしてしまうことも頭をよぎりますが、その場合、上でフォールするとグラウンドする可能性があります。
これは容認できないリスクです。
では、もう少し上まで登ってからクリップできないか?
1手進めて左手ガストンは?非常に苦しい。
ではさらにもう1手進めて右手ガストンは?片手を離すのは楽。しかし、ロープをかけるべきカラビナはかなり左の方で、すでに足元。ボルトに手は届くものの、カラビナまでは届かない。つまり、この状態でクリップするには、ヌンチャクとロープを片手で操って先端のカラビナにロープをかける必要がある。それも足元の!

さて、このクリップを実行するかどうか。
冷静に考えればリスクは殆どありません。むしろ、普通にたぐってクリップするよりも安全なぐらいです。
しかし、恐怖心はかなり大きくなります。
論理的に考えれば、「危険で無いことに対する恐怖」は避けるべきものではなく、克服すべきものです。
挑戦しない理由がありません。

こうしてトライしたその日の最終便で無事にレッドポイントできました。

「スプラッシュ」のカンテから先に残されたワクワク感や、「任侠道」の乗り越えるべき恐怖感は、岩というよりは初登者が創り出したものです。

スポーツクライミングも楽しい!
そしてリードすることには意味がある!

そんな当たり前のことを今更ながら実感することができました。
結局、「任侠道」は僕にとってもマイフェイバリットルートの1つとして忘れられないルートになりました。

来週からは「唐獅子牡丹」!
楽しみです!
プロフィール

pecoma

Author:pecoma
こんにちは!
いつも笑顔のペコマです!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カウンター
ランキング

FC2Blog Ranking

カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR