カネコロンにトライした
2月24日にカネコロンにトライし、氷崩壊により敗退しました。

2月の三連休に白馬までスキーをしに行ったので、ついでにカネコロンを偵察。なんと、しっかり繋がっている。
これは行かねば!
今シーズンは全くアイスクライミングをやってないけど、ま、ウォーターアイスであれば登れないことは無いでしょう。
土曜日は暖かく雨予報なのでそれ以後は絶望的、ってことで一日有休とって金曜日に出発。
金曜日も予想以上に暖かく、午後から曇る予報なのに西日が氷柱にあたり続ける。
除雪の終点からスキーでアプローチ。ガイドブックには西尾根アプローチと書かれているが、懸垂が面倒くさいし、斜度もありそうだし地形もガタガタしていてスキーには向いてなさそうなので、真ん中の緩い尾根にとりつく。予想通り、快適に登れた。
疎林になって滝が良く見え始めると傾斜が強くなってスキーでは登れなくなる。担いで登るのもダルイので幕営地とする。
チッペは滝の偵察に、僕はテントの設営を。

結局、日が暮れるまで太陽が雲に隠れることはなく、西日が滝を照らし続けた。
テントの中で作戦会議。
雨のクライミングは滝崩壊のリスクが高すぎるので、雨が降る前に抜ける。登攀時間を6時間とすると2時に登攀開始。ということで12時起床、1時出発。
僕は今シーズン初アイスなので、核心はチッペに任せて、僕は1,3ピッチを担当。

気温は高く、快晴無風。月はすでに沈んで暗い。
チッペがつけてくれたトレースを踏むものの歩きにくい雪室でスピードが上がらない。
取り付きで初めて滝を見上げた。上の方にヘッデンの光は届かず、滝の上部は闇に吸い込まれている。
1p目はどこからでも登れそうだけど、立っているが安定してそう(に見えた)な左側からとりつくことにした。
登攀ラインを避けてビレイ支点を構築しようとすると、表面こそ気持ちよく決まるが3cmで抵抗がなくなる。もう少し右に移動し、僕の登攀ライン直下までくるとどうにかまともなビレイ支店を構築できた。
2時半登攀開始。
1年ぶりのアイスクライミングだけど、特に違和感も無く、あ、これなら大丈夫だ、と感じた。登攀ラインは氷の質も問題無く、安心してアックスに体重をあずけられる。スクリューも最後まで効き、恐怖心も無い。
もう、登れた気分だった。これまでウォーターアイスでクライミング的な難しさを感じたことは無い。氷がそこにあるのであれば登れる。
バーチカルを5mほど登り、傾斜が緩む手前で2本目のスクリューを捻じ込んだ。
あとは緩い斜面にマントルを返して4級程度の滝をシーサイドテラスまで駆け上がるだけだ。
左手のアックスをグッと引いて効いていることを確かめ、両足を高めにあげて広げてステミング気味にする。左手を肩のあたりまで引き付けてロック。自由になった右手を伸ばし、気持ちよくアックスを振るう。1回、2回。刺さりはするものの完璧とは言えず3回目。少し力を込めて打ちこんだ、その瞬間、ドン!と言う破裂音。
安定していたはずのアイゼン前爪の感覚がふっと消えて、氷塊もろとも墜落した。
スピードは遅い。ゆっくり崩れ落ちていく氷の表面に僕は乗っているようだ。そしてこの氷の基部にはビレイ支点があってそこにチッペが繋がれている。致命的だ。

気が付いた時には頭が下の状態で止まっていた。
チッペが僕の名前を叫びながら動いているのを感じた。ああ、大丈夫だったんだ。
僕はと言うと、意識は正常、記憶は有りそう、右腕が痛いが活動性の出血も無く、とりあえず無事だ。
ビレイ支点は氷塊に埋まっているのに、そこに繋がれているチッペは全身が出ている。こんなことがあるのか。
ロープとスクリュー類を全て掘り出し、撤退。五体満足、残置物無しなのは不幸中の幸い。
破断面を見ると氷の厚さは20~50cmほど。表面5cmは普通の氷だけど、その内側はぐしゃぐしゃのシャーベット。
岩肌は水が流れ、シャーベット状の破断面からビチャビチャと水が滴っている。
これまでも春先のアイスでは、内部に水流があったり、アックスで叩くとドーンと空洞が響いたり、スクリューから水が吹き出たり、登攀中にピシッって言ったり、色々な兆候を感じてきた。しかし、今回は登攀中に崩壊の兆しは全く感じなかった。
これも実力。何とか生きて帰れるので、真の実力をつけてまたトライしよう。

帰りに撮影。
一番下の左半分が正方形に崩落。右手アックスで叩いたのがあの破断面。
カネコロン。
1年ぶりのアイスクライミングで登れるほど甘くはありませんでした。
・氷を見る目
・危険を察知する能力
・氷に負荷をかけない登攀技術
しっかり鍛えて再挑戦します。

2月の三連休に白馬までスキーをしに行ったので、ついでにカネコロンを偵察。なんと、しっかり繋がっている。
これは行かねば!
今シーズンは全くアイスクライミングをやってないけど、ま、ウォーターアイスであれば登れないことは無いでしょう。
土曜日は暖かく雨予報なのでそれ以後は絶望的、ってことで一日有休とって金曜日に出発。
金曜日も予想以上に暖かく、午後から曇る予報なのに西日が氷柱にあたり続ける。
除雪の終点からスキーでアプローチ。ガイドブックには西尾根アプローチと書かれているが、懸垂が面倒くさいし、斜度もありそうだし地形もガタガタしていてスキーには向いてなさそうなので、真ん中の緩い尾根にとりつく。予想通り、快適に登れた。
疎林になって滝が良く見え始めると傾斜が強くなってスキーでは登れなくなる。担いで登るのもダルイので幕営地とする。
チッペは滝の偵察に、僕はテントの設営を。

結局、日が暮れるまで太陽が雲に隠れることはなく、西日が滝を照らし続けた。
テントの中で作戦会議。
雨のクライミングは滝崩壊のリスクが高すぎるので、雨が降る前に抜ける。登攀時間を6時間とすると2時に登攀開始。ということで12時起床、1時出発。
僕は今シーズン初アイスなので、核心はチッペに任せて、僕は1,3ピッチを担当。

気温は高く、快晴無風。月はすでに沈んで暗い。
チッペがつけてくれたトレースを踏むものの歩きにくい雪室でスピードが上がらない。
取り付きで初めて滝を見上げた。上の方にヘッデンの光は届かず、滝の上部は闇に吸い込まれている。
1p目はどこからでも登れそうだけど、立っているが安定してそう(に見えた)な左側からとりつくことにした。
登攀ラインを避けてビレイ支点を構築しようとすると、表面こそ気持ちよく決まるが3cmで抵抗がなくなる。もう少し右に移動し、僕の登攀ライン直下までくるとどうにかまともなビレイ支店を構築できた。
2時半登攀開始。
1年ぶりのアイスクライミングだけど、特に違和感も無く、あ、これなら大丈夫だ、と感じた。登攀ラインは氷の質も問題無く、安心してアックスに体重をあずけられる。スクリューも最後まで効き、恐怖心も無い。
もう、登れた気分だった。これまでウォーターアイスでクライミング的な難しさを感じたことは無い。氷がそこにあるのであれば登れる。
バーチカルを5mほど登り、傾斜が緩む手前で2本目のスクリューを捻じ込んだ。
あとは緩い斜面にマントルを返して4級程度の滝をシーサイドテラスまで駆け上がるだけだ。
左手のアックスをグッと引いて効いていることを確かめ、両足を高めにあげて広げてステミング気味にする。左手を肩のあたりまで引き付けてロック。自由になった右手を伸ばし、気持ちよくアックスを振るう。1回、2回。刺さりはするものの完璧とは言えず3回目。少し力を込めて打ちこんだ、その瞬間、ドン!と言う破裂音。
安定していたはずのアイゼン前爪の感覚がふっと消えて、氷塊もろとも墜落した。
スピードは遅い。ゆっくり崩れ落ちていく氷の表面に僕は乗っているようだ。そしてこの氷の基部にはビレイ支点があってそこにチッペが繋がれている。致命的だ。

気が付いた時には頭が下の状態で止まっていた。
チッペが僕の名前を叫びながら動いているのを感じた。ああ、大丈夫だったんだ。
僕はと言うと、意識は正常、記憶は有りそう、右腕が痛いが活動性の出血も無く、とりあえず無事だ。
ビレイ支点は氷塊に埋まっているのに、そこに繋がれているチッペは全身が出ている。こんなことがあるのか。
ロープとスクリュー類を全て掘り出し、撤退。五体満足、残置物無しなのは不幸中の幸い。
破断面を見ると氷の厚さは20~50cmほど。表面5cmは普通の氷だけど、その内側はぐしゃぐしゃのシャーベット。
岩肌は水が流れ、シャーベット状の破断面からビチャビチャと水が滴っている。
これまでも春先のアイスでは、内部に水流があったり、アックスで叩くとドーンと空洞が響いたり、スクリューから水が吹き出たり、登攀中にピシッって言ったり、色々な兆候を感じてきた。しかし、今回は登攀中に崩壊の兆しは全く感じなかった。
これも実力。何とか生きて帰れるので、真の実力をつけてまたトライしよう。

帰りに撮影。
一番下の左半分が正方形に崩落。右手アックスで叩いたのがあの破断面。
カネコロン。
1年ぶりのアイスクライミングで登れるほど甘くはありませんでした。
・氷を見る目
・危険を察知する能力
・氷に負荷をかけない登攀技術
しっかり鍛えて再挑戦します。
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