Dartmoorへ小旅行~後半(と登った課題一覧)~
イースター休暇を利用してDartmoorへ行きました。
初日、2日目の記録は前の記事をご覧ください。
2日目はあまり難し課題は登らずに簡単なのをたくさん登ったので、3日目は、V6(1級/初段)を登ることを目標に、Cuckoo Rockへ行きました。
2日目のBonehill Rockのアプローチ1分と比べ、Cuckoo Rockは20分。岩も大きめが多くて、中には下降にクライムダウンやジャンプを必要とする岩もあって経験者向けのエリアです。

やさしめの看板課題をいくつか登りましたが、良質な課題が多いです。

上の写真は「Sharp Arete Block」という非常に美しい岩です。
人が手前にいるので、小さく見えますが、実際にはけっこう迫力があります。一番人気は右カンテを登る「Sharp Arete」(V2)です。ちょっと緊張する高さと、見た目の美しさと、花崗岩らしいジムでは味わえないムーブと、易しすぎないグレードで、初心者の目標課題としては素晴らしいと思います。
こういった課題でアップした後、いよいよ目標のV6に向かいました。
今回目標として選んだのは「Dyno From Undercuts」(V6)です。
「肝は届くと信じること。アンダーから何マイルも上のガバフレークをつかめ!」なんていう魅力的なトポの記載と、無駄の無い岩のシェイプが気にいったので、この課題と向き合うことにしました。

飛び出すアンダーも取りにいくフレークもガバなので、すぐに登れると思ったのですが、数センチ足りずに何回も落ちました。そのたびにフィンガーをきめている指の付け根が削られるし、叩く指皮は消耗するし、外傾気味のランディングを転がって色々痛めるので、メンタルポイントが徐々に減ってしまいます。
覚悟を決めて、思い切って距離を出したら、それでも届かず、これまで以上に指を傷めたので、終了。
あきらめて、ランニングに切り替えました。
Dartmoorは遺跡発掘で有名な所らしいです。
下の写真はランニングの途中でたまたま見つけたストーンサークルです。

大きなストーンサークルは有名ですが、実はこのぐらいの小さなストーンサークルはDartmoor中にたくさんあります。ストーンサークル内で家族と犬がサンドウィッチを食べていました。遠くには馬も写っています。ほのぼのとした光景ですね。

適当に岩を目指して走って、それっぽい岩があれば、登って、また走ってということを繰り返しました。
ストーンサークルの他にも、多くの馬と羊と牛に会いました。
完全に放任主義のようで、彼らは自由にその辺で草を喰ってます。


子育てもその辺で勝手にやってる感じなのでしょう。
仔馬も仔羊もたくさんいました。夕飯にいただきたかったのですが、親羊が怒るのでやめました。
快晴で暑く、熱中症気味。だいぶ足も疲れてきたので、駐車場に戻りました。
まだ日暮れまでは数時間あったけど、これ以上、登る気にも走る気にもならないので、宿でビールにしましょう。
帰りの車の中で考えました。
適当に登った岩は、トポから課題を同定できたものもあるし、全くわからないモノもあった。どの課題も美しく、常に未知の状態を上部に残しながらトライできたので楽しかった。
でも、今日の目標はV6だったはず。
海外の知らない岩場、雄大な景色、ノーマット、オンサイト、ランニング、こういった要素によって、なんだか特別なことをしている気になっているけど、今日のクライミングに満足していいのか?何のためにジムでトレーニングしてるんだろう?本当に限界までトライしたのか?言い訳しても寂しくなるだけって、わかってるじゃん。
そっと車をUターンし、元の駐車場に戻ってきました。
傷めた指に入念にテーピングをまき、20分のアプローチを走り、再び「Dyno From Undercuts」に立ちました。
これまでは、一度も動画撮影はしていませんでしたが、この課題はとっておくことにしました。
何回か失敗して、「ああ、やっぱり無理か…」とネガティブになることもありました。
でも、ワントライずつ気付きがあり、「次はいける!」と前向きな気持ちを維持できました。

そして完登。
ジムでのグレードから考えれば登れて当然の課題ですが、自分の弱さに打ち勝った気がして、なんだか泣きそうになりました。
おそらく、今後、一生来ることのない岩場です。今日、諦めていたら、この課題は永遠に登れなかったでしょう。
嬉しいついでに5kmほどランニングしてから宿に戻りました。
シャワーを浴びて、グビッ!最高!

翌日は、Saddle Torに行きました。
上級者向けのエリアです。メインの岩は1つだけで、20本ほどの課題があります。そのほどんどがV8以上。また、メインの岩以外にも数個の岩があって、良質な課題が設定されています。
メインの岩はまあまあハイボールなので、僕の実力でトライできる課題はあまりありません。だけど、美味しいラインにV4の課題「Bjorn Again Extended Start」(V4)が設定されていたので、これを狙う事にしました。トポにも「finishは高いけど、それほど難しくない」と書かれていて、ノーマットオンサイトで狙うにはちょうど良い課題です。
核心は明らかに下部。上部は下からだとよく見えないけど、ホールドは多そう。しかし、落ちたらおそらく怪我は免れない。さて、どうしたものか。やるかやらぬか。
30分ぐらい悩んでいました。
ま、死ぬことは無いだろうし、飛び降りられる高さまでクライムダウンはできそう。
不確実なムーブさえしなければ、何も問題は無い。
ということでやりました。

動画を撮ったのですが、上の写真のあたりで7分間悩んでました。
これだ!と言うホールドが無くて、逡巡してしまいましたが、充実感のあるクライミングができました。
あとは簡単だけどバエル課題とかやってこのエリアは終了です。

そして、この後は2日目に行ったBonehill Rockを再び訪れました。
と言うのも、暑さで敗退した「The Wave」(V6)に再挑戦したかったからです。この日は涼しく、岩の状態は良いはずです。マット無しでは厳しいですが、有名課題なので誰かいるかもしれません。
しかし、残念ながら誰も居らず、下部を練習してみるも、やはりかなり難しくて諦めました。
そのかわり、マット無しでもトライしやすい「Slopey Traverse extended」(V5)を登って終了。
以上が、4日間のDartmoor小旅行でした。
おそらくDartmoorでボルダリングをした日本人はこれまで居なかったと思いますが、非常に良い所なので是非訪れてみて下さい。特に初心者におすすめです。「海外でクライミングなんてエキスパートのみに許されること」ってイメージがあるかも知れませんが、日本よりもヨーロッパの方が遥かに初心者フレンドリーな岩場が多いです。正直、日本のボルダラーはめちゃめちゃレベル高いです。どこの岩場に行っても3級以上の課題にトライしている人ばかりのように感じますが、DartmoorではV3を登れれば拍手喝采です。「ピクニックのついでに岩も登って遊んでいる」といった雰囲気です。
段以上を登る人がわざわざ行くような岩場ではないかもしれませんが、V11ぐらいまではあります。そういう課題はおそらくもっと涼しい時期にトライされているんだと思います。トポがウェブ上にアップされてるのも良いですね。
さて、暦の上での休日は終わりましたが、大学は今週はお休みです。
細胞の都合で、長期間の旅行はできませんが、この休暇中にまたどこかに行きたいものです。
☆登った課題たち☆
~Bonehill Rocks~
22 Slopey Traverse (extended): V5
10 Llama Farmer: V5
24: V5
17: V4
62 Rippled Wall: V4
14: V3
33 Perry's Traverse: V3
89 Hanging Crack: V3
3: V2/3
102: Greg's Dyno: V2
11: V1/2
55: V2
2: V1
27: V1
1: V0
28: V0
35: V0
36: V0
26: 4a
13: 3c
74: 3c
~Cuckoo Rock~
72 Dyno From Undercuts: V6
58: V5
35 Mercy: V4
1 Cracked Boulder Traverse: V2
8 Zealouse: V2
11 Sharp Arete: V2
26 Dynamic Arete: V2
55 Reach: V2
22 The Slab: V0
24 Cracke slab: V0
80 Flake Crack: V0
48: 3a
その他、不明のボルダー多数
~Saddle Tor~
4 Bjorn Again Extended Start: V4
27 Hnging Foot: V3
19 The Hidden Traverse: V4
11 The Funnel: 4c
初日、2日目の記録は前の記事をご覧ください。
2日目はあまり難し課題は登らずに簡単なのをたくさん登ったので、3日目は、V6(1級/初段)を登ることを目標に、Cuckoo Rockへ行きました。
2日目のBonehill Rockのアプローチ1分と比べ、Cuckoo Rockは20分。岩も大きめが多くて、中には下降にクライムダウンやジャンプを必要とする岩もあって経験者向けのエリアです。

やさしめの看板課題をいくつか登りましたが、良質な課題が多いです。

上の写真は「Sharp Arete Block」という非常に美しい岩です。
人が手前にいるので、小さく見えますが、実際にはけっこう迫力があります。一番人気は右カンテを登る「Sharp Arete」(V2)です。ちょっと緊張する高さと、見た目の美しさと、花崗岩らしいジムでは味わえないムーブと、易しすぎないグレードで、初心者の目標課題としては素晴らしいと思います。
こういった課題でアップした後、いよいよ目標のV6に向かいました。
今回目標として選んだのは「Dyno From Undercuts」(V6)です。
「肝は届くと信じること。アンダーから何マイルも上のガバフレークをつかめ!」なんていう魅力的なトポの記載と、無駄の無い岩のシェイプが気にいったので、この課題と向き合うことにしました。

飛び出すアンダーも取りにいくフレークもガバなので、すぐに登れると思ったのですが、数センチ足りずに何回も落ちました。そのたびにフィンガーをきめている指の付け根が削られるし、叩く指皮は消耗するし、外傾気味のランディングを転がって色々痛めるので、メンタルポイントが徐々に減ってしまいます。
覚悟を決めて、思い切って距離を出したら、それでも届かず、これまで以上に指を傷めたので、終了。
あきらめて、ランニングに切り替えました。
Dartmoorは遺跡発掘で有名な所らしいです。
下の写真はランニングの途中でたまたま見つけたストーンサークルです。

大きなストーンサークルは有名ですが、実はこのぐらいの小さなストーンサークルはDartmoor中にたくさんあります。ストーンサークル内で家族と犬がサンドウィッチを食べていました。遠くには馬も写っています。ほのぼのとした光景ですね。

適当に岩を目指して走って、それっぽい岩があれば、登って、また走ってということを繰り返しました。
ストーンサークルの他にも、多くの馬と羊と牛に会いました。
完全に放任主義のようで、彼らは自由にその辺で草を喰ってます。


子育てもその辺で勝手にやってる感じなのでしょう。
仔馬も仔羊もたくさんいました。夕飯にいただきたかったのですが、親羊が怒るのでやめました。
快晴で暑く、熱中症気味。だいぶ足も疲れてきたので、駐車場に戻りました。
まだ日暮れまでは数時間あったけど、これ以上、登る気にも走る気にもならないので、宿でビールにしましょう。
帰りの車の中で考えました。
適当に登った岩は、トポから課題を同定できたものもあるし、全くわからないモノもあった。どの課題も美しく、常に未知の状態を上部に残しながらトライできたので楽しかった。
でも、今日の目標はV6だったはず。
海外の知らない岩場、雄大な景色、ノーマット、オンサイト、ランニング、こういった要素によって、なんだか特別なことをしている気になっているけど、今日のクライミングに満足していいのか?何のためにジムでトレーニングしてるんだろう?本当に限界までトライしたのか?言い訳しても寂しくなるだけって、わかってるじゃん。
そっと車をUターンし、元の駐車場に戻ってきました。
傷めた指に入念にテーピングをまき、20分のアプローチを走り、再び「Dyno From Undercuts」に立ちました。
これまでは、一度も動画撮影はしていませんでしたが、この課題はとっておくことにしました。
何回か失敗して、「ああ、やっぱり無理か…」とネガティブになることもありました。
でも、ワントライずつ気付きがあり、「次はいける!」と前向きな気持ちを維持できました。

そして完登。
ジムでのグレードから考えれば登れて当然の課題ですが、自分の弱さに打ち勝った気がして、なんだか泣きそうになりました。
おそらく、今後、一生来ることのない岩場です。今日、諦めていたら、この課題は永遠に登れなかったでしょう。
嬉しいついでに5kmほどランニングしてから宿に戻りました。
シャワーを浴びて、グビッ!最高!

翌日は、Saddle Torに行きました。
上級者向けのエリアです。メインの岩は1つだけで、20本ほどの課題があります。そのほどんどがV8以上。また、メインの岩以外にも数個の岩があって、良質な課題が設定されています。
メインの岩はまあまあハイボールなので、僕の実力でトライできる課題はあまりありません。だけど、美味しいラインにV4の課題「Bjorn Again Extended Start」(V4)が設定されていたので、これを狙う事にしました。トポにも「finishは高いけど、それほど難しくない」と書かれていて、ノーマットオンサイトで狙うにはちょうど良い課題です。
核心は明らかに下部。上部は下からだとよく見えないけど、ホールドは多そう。しかし、落ちたらおそらく怪我は免れない。さて、どうしたものか。やるかやらぬか。
30分ぐらい悩んでいました。
ま、死ぬことは無いだろうし、飛び降りられる高さまでクライムダウンはできそう。
不確実なムーブさえしなければ、何も問題は無い。
ということでやりました。

動画を撮ったのですが、上の写真のあたりで7分間悩んでました。
これだ!と言うホールドが無くて、逡巡してしまいましたが、充実感のあるクライミングができました。
あとは簡単だけどバエル課題とかやってこのエリアは終了です。

そして、この後は2日目に行ったBonehill Rockを再び訪れました。
と言うのも、暑さで敗退した「The Wave」(V6)に再挑戦したかったからです。この日は涼しく、岩の状態は良いはずです。マット無しでは厳しいですが、有名課題なので誰かいるかもしれません。
しかし、残念ながら誰も居らず、下部を練習してみるも、やはりかなり難しくて諦めました。
そのかわり、マット無しでもトライしやすい「Slopey Traverse extended」(V5)を登って終了。
以上が、4日間のDartmoor小旅行でした。
おそらくDartmoorでボルダリングをした日本人はこれまで居なかったと思いますが、非常に良い所なので是非訪れてみて下さい。特に初心者におすすめです。「海外でクライミングなんてエキスパートのみに許されること」ってイメージがあるかも知れませんが、日本よりもヨーロッパの方が遥かに初心者フレンドリーな岩場が多いです。正直、日本のボルダラーはめちゃめちゃレベル高いです。どこの岩場に行っても3級以上の課題にトライしている人ばかりのように感じますが、DartmoorではV3を登れれば拍手喝采です。「ピクニックのついでに岩も登って遊んでいる」といった雰囲気です。
段以上を登る人がわざわざ行くような岩場ではないかもしれませんが、V11ぐらいまではあります。そういう課題はおそらくもっと涼しい時期にトライされているんだと思います。トポがウェブ上にアップされてるのも良いですね。
さて、暦の上での休日は終わりましたが、大学は今週はお休みです。
細胞の都合で、長期間の旅行はできませんが、この休暇中にまたどこかに行きたいものです。
☆登った課題たち☆
~Bonehill Rocks~
22 Slopey Traverse (extended): V5
10 Llama Farmer: V5
24: V5
17: V4
62 Rippled Wall: V4
14: V3
33 Perry's Traverse: V3
89 Hanging Crack: V3
3: V2/3
102: Greg's Dyno: V2
11: V1/2
55: V2
2: V1
27: V1
1: V0
28: V0
35: V0
36: V0
26: 4a
13: 3c
74: 3c
~Cuckoo Rock~
72 Dyno From Undercuts: V6
58: V5
35 Mercy: V4
1 Cracked Boulder Traverse: V2
8 Zealouse: V2
11 Sharp Arete: V2
26 Dynamic Arete: V2
55 Reach: V2
22 The Slab: V0
24 Cracke slab: V0
80 Flake Crack: V0
48: 3a
その他、不明のボルダー多数
~Saddle Tor~
4 Bjorn Again Extended Start: V4
27 Hnging Foot: V3
19 The Hidden Traverse: V4
11 The Funnel: 4c
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