fc2ブログ

スカイ島で絶景Cuillin traverseしてきた


スコットランドの北の方にあるSkye島のCuillin山脈の縦走をしました。
結論から言うと、ものすごく気持ちの良い尾根歩きでした!

Skye島は日本人にはまだそんなに知られてはいないような気がしますが、絶景を楽しめる観光地として注目を集めつつあります。
その中でも登山(スクランブリング)で有名なのがCuillin山脈です。
この山脈の全山縦走はスコットランドで最も魅力的なルートとして知られ、多くの登山愛好家の憧れとなっているようです。

だけど、そのハードルはけっこう高いです。
標高は1000m程度ですが、この地での1000mは日本の3000mと同様の環境です。
鎖、梯子、道標、目印などは一切ありません。
3級程度の岩登りが随所に出てきます。局所的には5.9ぐらいの場所もあります。
懸垂下降を5回ぐらいします。
西穂高から槍ヶ岳よりも長いです。

槍穂との比較

上の画像にある通り、海沿いのキャンプ場からスタートし、南端のGaras-bheinnに登り、尾根伝いにBruach na Fritheまで行きます。そこから西の尾根を下り、ハイキングパスと車道を歩き、キャンプ場に戻る計画です。このように合理的な周回ルートにすると、ちょっとだけ端折ることになって残念ですが、ま、ほぼ全山縦走と言っていいでしょう。
右の槍穂と比べてもらうとわかると思いますが、ワンデイでやるにはそれなりに気合が必要な距離です。

66896146_2147388275370546_2340033680489054208_o.jpg

装備は、60m1本、カム小さめ1セット、スリングなど、クライミングシューズ、水2L、食料、地図、トポ、雨具、防寒具。
6時頃に駐車場を出発し、まずはハイキングパスを進みます。

67174239_2147394162036624_8919728762539474944_o.jpg

ハイキング道はそのうち消失するので、あとは地図を見つつ、やや標高をあげながらトラバース。
基本的にトレースはないのでルーファイが必要でした。

最後は急なガレを汗をかきつつ直登すると、ひょっこりと稜線に出ます。

67165047_2147394042036636_1244292436998488064_n.jpg

海側から登りはじめたのに、尾根の向こうにはまた海が見えるということに驚きました。
なんと、海と海に挟まれた狭い稜線を歩いていくことになるのです。
この時点では雲の中でしたが、予報では翌朝までは快晴です。そのうち晴れるでしょう。

67244777_2147394065369967_1525248259537240064_n.jpg

尾根沿いはよく踏まれていて歩きやすいです。
クライミングパートもよく登られていて、落石などの心配もほとんどありません。
基本的には忠実に尾根を辿るだけなので、ルーファイも簡単なのですが、時々、小さなピークをまくような部分があって、そういう所ではけっこう悩みました。登っていいのか、右にまくか、左にまくか、小さくまくか、大きくまくか。

67424076_2147394262036614_2594712991895126016_n.jpg

はじめのうちは走れる尾根もあったのですが、徐々に岩パートが増えてきて、2級ぐらいのクライミングが続くようになります。

66405146_2127080067401367_1425924061325688832_o.jpg

上の写真は「Inaccessibleピナクル(アクセスできない岩塔)」の頂上です。
このピナクルは登らなずにまくこともできますが、このピナクルがこの山の山頂なので、登らないとなんか残念な感じになってしまいます。槍の穂先に登らずに縦走を続けるような感じです。

67427774_2147389545370419_3904309818218774528_o.jpg

頂上にはガイドパーティーがいて、しばし懸垂待ち休憩。

ガイド「Whole traverse(全山縦走)?」
僕「そうだよ」
ガイド「今日は全山縦走にもってこいの最高の天気だよ」
客「スコットランドはいつもこんな天気だぜ!」

そういう冗談が言えるぐらい、普段は天気が悪いのでしょう。
全山縦走はロープ37.5mあれば足りるそうです。

さて、さくさく登ってきたので、もうそろそろ終盤かと思ったら、まだ半分も来ていない。えらいこっちゃ。
槍穂と違って、ロープを出す必要があるのと、ルーファイが必要なこともあって、感覚よりもスピードが遅いようです。

ということで、ここからは歩きに集中。
できれば明るいうちに車道までは下りたい。あばよくばホテルやパブの空いている時間に街まで移動したい。

66321939_2127080497401324_5157660611827466240_n.jpg

が、冷静に考えて、どんなに早くても21時に車道着。
奇跡的にすぐにヒッチハイクに成功したとしても、街に着くのは23時ぐらい。
どうやら今夜の宿と食事は絶望的です。エスケープルートはいくらでもあるんだけど、ま、いっか。
それよりもこの尾根をしっかり楽しみたい!

67067588_2147393978703309_4116706117193564160_n.jpg

終盤になるにつれて、地形の複雑さが増してきます。
特に嫌らしいのが数多くの「ギャップ」です。
懸垂で下りて、クライミングで登り返すものもあれば、写真のように「またぐ」ものもあります。

もう最後のピークも見えているのに、このギャップのせいで何度もロープを出し、なかなか近付きません。
すでに14時間ぐらい行動しているので、疲労も現れてきました。

でも、天気は最高で、景色は感動的な美しさで、縦走が終わってしまう事が残念でした。
装備を持ってビバークしたかったなあ。

最後のピークで唯一のツーショットを撮って、あとは下るだけです。

67304250_2147388202037220_7118280467685572608_n.jpg

地図を読む限り、下山に利用する尾根は単純な地形で、ロープも必要なさそうです。

66363257_2127079604068080_6791110419084738560_o.jpg

広い尾根をただただ、夕日に向かって下りていくだけです。
一日歩いた充実感、エスケープせずに目標を完遂した満足感。緑の大地にオレンジの太陽。
こんなに美しい景色は、これまでの経験の中でもトップレベルです。

ハイキングパスに合流し、1時間歩くと車道に出ました。22時30分。
あとは1時間半の車道歩きです。
山の上は、今、まさに陽が沈むところのようです。

66433016_2127078974068143_4563120585533554688_o.jpg

ほんの数分間、岩肌がピンクに輝きました。

Cuillin全山縦走。
これはおそらく、ハイキングでもロッククライミングでもなくて、スクランブリングという分野に分類されると思います。
日本ではあまり馴染みの無い分類ですが、山岳地帯のポピュラーな夏のバリエーションルートはほとんどスクランブリングでしょう。北鎌尾根とか北方稜線とか八峰とか前穂北尾根とか北岳バットレスとか。つまり、歩きとクライミングの中間ぐらいの認識で良いかと思います。
僕は、こういう登山が大好きです。ちょっとスリリングで、でもスピーディーに行動出来て、ダイナミックに変化する景色を楽しめる。ロープワーク、クライミング能力、体力や装備の軽量化といった、色々な能力や経験が求められるのも魅力的です。日本でもこういう形態で山を楽しみたいのですが、主要な尾根はだいたい登山道として整備されてしまっています。
それはそれとして仕方ないのですが、僕が少し気になることは、日本では、本来スクランブリングとして扱うべきルートを無理やり登山道にしている場所が多いことです。それによって、実力以上のコースに人が来てしまっているように感じるのです。道を整備すればするほど人が集まり事故が増えるというジレンマですね。

さて、1時間半の車道歩きを覚悟して歩き始めて20分。なんと最初の1台が止まってくれました。
ありがたく乗せてもらい、キャンプ場の駐車場到着。23時。約18時間行動でした。
ネットの通じる場所まで移動して、前日の残りのポテチとワイン飲んで仮眠。
翌日はイギリス最高峰のベンネビスに登ります。
スポンサーサイト



プロフィール

pecoma

Author:pecoma
こんにちは!
いつも笑顔のペコマです!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カウンター
ランキング

FC2Blog Ranking

カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR