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ノルウェーのHollenderanでのクライミング詳細

ノルウェーのクライミング情報は日本語ではほとんど出てこないので、少し詳しく書きます。
メインで登ったのはロフォーテン諸島で、真ん中の地図の爪のような半島部分です。
ですが、その前にHollenderanで1本だけ登ったのは本記事はその紹介です。



図2

Hollenderanは標高1000mの山の頂上直下250mほどを登るエリアです。つまり山岳地域でのクライミングなのでロフォーテンでの岩登りとはちょっと違います。

ベースとなる町はToromsoです。オスロから飛行機で行けます(ロフォーテンだけならbodoに飛ぶべきです)。そこから車で30分ほど。

アプローチは海から標高700mまで登ります。
アプローチルートは東側①と西側②があります。が・・・
ネット情報では東側①の方がメジャーっぽかったので、最初はそこからトライしたのですが羊に阻まれました。

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もともと歩かれていたっぽい道には柵がされ、ノルウェイ語で何やら書かれていて、番羊に「めー!」って吠えられます。

なので西側②に移動してみると、車が数台止まっていたので、今は西側②からアプローチされているようです。
100mぐらいの間に小さな路肩(北)と大きな路肩(南)がありますが、小さな路肩が正解。その路肩の50m手前(北)からアプローチします。岩に赤ペンキがあります。
僕たちは間違えて大きな路肩(南)近くの踏み後からアプローチしてしまい、途中で踏み後は消え、藪漕ぎやガレ場歩きを強いられました。この踏み後は周囲でキャンプする人が川で水を汲むための踏み後でした。

正しいアプローチは良く踏まれ、ケルンやマーキングも豊富です。
ま、どうやって登っても顕著なコルを目指すだけなので迷う事はありません。2時間ぐらいでコルにつきます。

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水は随所で汲めます。

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コルには地元の山岳会が管理している山小屋があって、超快適そうでした。
でも、そこらへんで野宿しているクライマーもたくさんいました。

Hollenderanは標高700mにある250mほどの壁の集合体です。壁は大きく6つに別れ、それぞれの壁にルートがひかれています。どの壁も垂直に近く、非常にすっきりしていて、ルートは全部で30本ぐらいあります。

その中でも目を付けたのはBaugen(船首)という壁にある"Flygende Hollender"です。
山小屋から岩の基部伝いに10分ぐらい歩きます。
ルートについてはネット検索して下さい。大まかなラインはわかります。各ピッチの詳細なんかは知らない方が良いでしょう。

図1

6pで5.10c~5.10dぐらいのピッチが続きます。
ルート上の残置物は皆無。ビレイ支点やラペルステーションも一切有りません(下降は別ルート)。

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何本ものクラックが頂上に向かって伸びているので、ルーファイに迷う事があります。
僕たちも隣のクラックに入り込んでしまい、振り子トラバースでリカバリーしたり、なんてこともありました。
プロテクションはどこでもいくらでもとれ、窮地に陥ることはまず無いので、大らかな気持ちで好きなように登ればいいかと思います。(日も沈まないし)

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ルートも美しいですが、ロケーションは最高です!
こればかりは言葉でも写真でも伝えようが無いので、ぜひ行って下さい!本当に感激します!

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下降は岩を向いて右側(東側)の尾根から懸垂を繰り返します。
ルートを登り切ると頂上の一角に出るので、そこから右の方(終了点から30mぐらい)を探すと立派なラペルステーションがあります。

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50m懸垂を何回も繰り返します。ラペルステーションは見つけやすかったです。この尾根は傾斜が緩いので標高差のわりに懸垂回数が多い印象でした。6回ぐらい?最後の方は歩いて降りる道もあるようです。

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この日は北極圏でも記録的な猛暑で、時差ボケ、アプローチ、クライミング、懸垂とかなり消耗しました。
ルートが南向きなので非常に暑いです。夜の20時から登り始めるクライマーもいました。

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僕たちはマットもシュラフも車に置いてきたので下山しましたが、山小屋で何泊かしながら登るのが良さそうです。
下山したのは22時近くでヘトヘトでしたが、花や動物も多くとても楽しいです。
特にトナカイがたくさんいます。
飼い犬にトナカイが追いかけられて車道を全力疾走してました。トナカイは車にひかれそうだし、ヒトはトナカイにひかれそうです。

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ここで会ったクライマーは「ロフォーテンよりも好き」と言っていました。人が少ないし、難しさが継続していて楽しいようです(ロフォーテンは簡単なピッチとかテラスとかある)。
ロフォーテンと比べてアプローチはかかりますが、それでもたった2時間です。飛行場からの時間で言えばロフォーテンよりも近いです。

日本人でこの地を訪れた人がいるかどうかはわかりませんが、素晴らしい場所なので是非行ってみて下さい!
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ノルウェーのロフォーテンでクライミングをした

7月28日から8月5日でノルウェーに行ってきました。
ロフォーテンでのクライミング記録は日本語では殆ど無いので、1本ずつ個々の記事で詳しめに書きます。
この記事は全体総括。

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北欧は昔から行ってみたい地域でした。
小さい頃は豊かな自然に憧れて、学生の頃は進んだ社会制度に興味を持ち、今はフィヨルドから聳える岩山に惹かれます。
北欧諸国でもノルウェーを選んだのは、イタリアでTさんからロフォーテンの存在を教えてもらったから。調べてみると出てくる出てくる、素晴らしい景勝地だと。洋上のアルプス、世界で最も美しい村、アナと雪の女王の舞台…。クライミングの情報も英語であれば豊富で、かなり質の良いマルチピッチが楽しめそう。さっそくトポを購入し、ノルウェー行きが決定しました。

ノルウェーではクライミング以外にキャンプも楽しもうと計画しました。

ノルウェーには「国民は自然を楽しむ権利がある」と言う概念があって、キャンプやハイキングは誰でもどこでも自由にできます(もちろん牧場でのキャンプ禁止などルールはあります)。特に今回滞在したHenningsvær周辺はノルウェー国内は元より世界中からアウトドアライフを楽しむ人々で溢れていて、そこかしこにテントが張られていました。川上村全体が廻り目平って感じです。いや、ロフォーテン全体で考えれば山梨県全部が廻り目平って雰囲気です。自由に使えるピクニックエリアが道路脇に無数に存在し、海岸の岩畳や、崖の上の草地などキャンプ適地が永遠に広がっています。それらのどこからでも素晴らしい景観が楽しめます。
最近は観光客の増加によるオーバーユースが懸念されているようですが、それでもテントの間隔はどんなに近くても10m以上は離れているし、ゴミなんか全く落ちてないし(公共のゴミボックスが充実している)、トイレも公共と海とで十分足りているように感じました。

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金曜日に成田を出発し、ドバイ経由で首都オスロへ(なぜかビジネスクラスにアップグレード!)。オスロから国内便でTromsøと言う北極圏最大の街に飛びました。ロフォーテンだけでなくTromsøを訪れた目的は2つ。
1つはMackビールと言う最北のビール醸造所併設バーで呑むこと。
もう1つは是非登ってみたい壁を見つけたので。
クライミングの記録は別記事で書くのでクライミングの内容は置いとくとして、ここではノルウェーの自然を楽しむスタイルを感じ取ることができました。

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2時間のアプローチをこなした稜線上のコルにクライマーが管理している小屋があって、その周辺でクライマーたちがビバークしていました。テントやツェルトを張っている人は居らず、それぞれ好きなところでシュラフに包まっているのです。いつも僕たちがやっている日本だとちょっと浮いちゃうスタイルがここでは当たり前でした。
僕たちがクライミングを終えて取り付きに戻ると「ヘイ、クライミングは楽しめたか?俺たちは今から登るよ!涼しいからね!」などと言うクライマーが。既に20時だと言うのに。これが白夜の自然王国での楽しみ方なのです。
下山後、隣のクライマーを見習って、僕たちも車脇でオープンビバーク。トナカイが草を食むのを眺めながらmackビールを愉しみました。

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翌日から本来の目的地であるロフォーテンに移動しました。時間が限られているのでロフォーテンでの目標ルートは3本に絞っていました。
ロフォーテン最大の町Svolværで昼食をとっていると、カフェの窓から目標ルートの1つ「ヤギの耳」が見えたので早速登りに行きました。このルートはヤギの耳の間をジャンプして飛び移ることで(観光客の間で)で有名です。初心者でごった返していてクライミングとしては快適とは言えないけど、名所観光で一回は登っておかないとね。

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ロフォーテン2日めは「世界で最も美しい村」として知られるreineへ。キャンプ地から100kmぐらいドライブです。その間、ずっと物凄い景色を楽しめます。なんと言っても海が綺麗!
目標ルートはreine村の近くの広大なスラブです。スラブなのにボルトは皆無で恐ろしいランナウトの連続。トポにも心臓さよならマークが付いているけど、その通りでした。脆い部分とか非合理的なラインどりを強いられたりとかで、精神的に疲れるルートでした。

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翌日は天気予報が微妙なのでレスト。朝は美しい砂浜で海水浴をして、そこがあまりにも気持ちの良い場所だったのでそこでキャンプすることに決定。雨が降る前に短いマルチで遊んで、雨の間にスーパーで買い物して、雨が上がったらBBQして、そのまま寝た。

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そしてロフォーテン4日目。目標3本目のルートvestpillaren directを登りました。
スッキリした500mの壁はロフォーテンの中でも最も迫力があります。さすがにEl Capitanとは比べられませんが、ヨセミテにあっても存在感を発揮できるレベルです。ビレイ支点以外に残置物は一切無く(これはロフォーテン全体に言えることだと思います)、素晴らしいルートでした。
グレードは5.10c程度なので突破に苦労するような部分は無いけど、50m近いクラックが連続して決して楽なクライミングでも無いです。高度を上げるに従って見える世界が広がっていき、山頂ではは見たこともない風景に圧倒されました。
ロフォーテンを訪れる方は必ずトライすべきルートだと思います。

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タイミングよく天候が崩れ、翌日は早朝から移動。最後の町Bodøへ。
1週間ぶりにホテルでシャワーを浴びてレストランで食事をして部屋でYouTube観ながら過ごしました。

さて、今回の旅行は天候に恵まれ、目標に定めたルートは全て登ることができました。
また、キャンプ生活を通じてノルウェー人の自然との接し方を知ることができたように思います。
ノルウェーの人たちは思いっきり白夜の太陽の恵みを喜んでいるのです。クライマーだけではありません。ハイキングも自転車も釣りもマリンスポーツも大勢の人が楽しんでいて、みんなとても幸せそうでした。
目が合えばhi hi(ノルウェー語の挨拶はhiを2回繰り返す)と挨拶を交わし、わかりやすい英語で親しく話しかけてくれます。

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僕は観光客としてこの地を訪れましたがお金はあまり落としていません。ホテル代も食事代も殆どかかってないんだから。そもそもホテルなんて殆どありません。酒も18時以降は売ってくれないし、アルコール度数5%以上の酒は売っていません。
この国は観光客を集めて金を儲けようとしているわけではないのです。国民が自然の美しさを享受できるように整備しているのです。
豊かとはどういうことか、贅沢とは何なのか、考えさせられました。

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さて、日本もノルウェー同様、素晴らしい自然を有します。
日本は多くの点で北欧諸国を見習うべきだと思いますが、美しい自然と言う貴重な資源をどのように活かすのか考えなければならないでしょう。
僕はこれからも日本の自然の素晴らしさを全身で満喫します。
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